元・外資人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回は転職初心者に向けて、「初めての転職活動には相談相手がいた方が良い」をテーマにします。

これから初めて外資への転職をしようという時、考慮したいポイントは最低でも以下になりますが、それぞれの項目についてどのくらい理解できていますか？

考慮したいポイント

• キャリアの方向性

• 日系か外資系か

• 企業の規模

• 企業の成長段階

• 企業のスピード

• 会社の成長性

• 給与・福利厚生

• テレワーク可能かどうか

• 求められる英語力

• 人材育成に対する真剣度

• 上司は外国人か日本人か

自分が初めて転職した時を思い出すと、ほとんど何もわかっていませんでした。初めて転職を考える時に感じる不安の1つは「転職活動をしていることが会社にバレないだろうか」です。慎重になるばかりに誰とも相談せず、初めて経験で分からないことばかりなのに、自分だけでなんとかしようと途中まで頑張り、最後に煮詰まってキャリア相談に駆け込まれると方を何人も見てきました。転職にあたって壁打ちの相手はいた方がいいです。 

不安な気持ちもわかりますが、外資系企業の人事に25年在籍し、独立してからすでに1,000人のキャリア相談をしていますが、誰かに転職活動について相談したら会社にバレたと聞いたことがありません。私自身８回転職していれメンターに相談したこともありますが、話が漏れたりはしていません。 

皆さんが信頼できると思っている方、いつも頼りにしている友人が、皆さんの不利になること、つまり、皆さんの転職活動を誰かに伝える事は考えられないです。自分のメンター・友人選びの目を信じて、壁打ちの相手になってもらいましょう。 

人間は自分ひとりだけで考えていると思考が回ってしまい、新しい視点で状況を見ることができなくなります。皆さんのことをよくわかってくれている第三者に話すことで、思考が整理されたり、彼らからのアドバイスをもとに軌道修正できたりするので、過度に秘密主義にならない方が賢明です。 

さらに大事なことですが、相談すると決めたら包み隠さず、状況を全て明らかにしたほうが皆さんにとって有利な結論を導き出すことができます。 

例えば、現職を離れたい理由が上司との人間関係にあり、実は前職でも人間関係がストレスになってメンタルにバランスを崩したことにあるとします。この事実がわかれば、私は次の転職先にプレッシャーや期待値が高い業界を避けるようアドバイスすることができます。どういった業界はプレッシャーが高いのかも伝えることもできます。メンタルバランスの話がされなければ、無意識のうちにプレッシャーが高い業界を勧めてしまう危険すらあります。 

こんな例もありました。GAFAを受けたい候補者で書類選考に受かったと連絡があったので、友人でGAFA勤務のエグゼを紹介し、独特の面接を乗り切れるように手配しようとしました。先方はそのプラン自体は大歓迎なのですが、オンラインでお目にかかるのにビデオオフでも良いならとの条件付きでした。身元がバレるのが怖いという理由です。自分のために知り合いではない方が時間を費やそうとしてくださっている時に、顔出ししないのはさすがに失礼です。私も困ってしまいました。GAFAはリスクを取るアサーティブな人材の集団です、この状況下で顔出しできない方は入社してもいずれ離れることになるだろうと判断し、このミーティングは残念ながら成立させませんでした。 

まとめ

働き方は自由で良し悪しはありませんが、自分に合う会社・合わない会社は明らかに存在します。初めて転職活動するにあたり、自分の思考を整理するためにも信頼できる人に相談することを勧めます。相談すると決めたら、情報はフルオープンに開示して相談相手が正しい判断ができるようにして、自分にとって最良の策を考えられるようにしましょう。

プロフィール 

Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)

株式会社AT Globe 代表取締役社長　　

GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。１万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を８回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。

診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講

STAR面接技法 認定講師

ホフステード6次元異文化モデル　認定講師

お茶の水女子大学卒業。

著書

2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版）

2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」（日本実業）