元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日の記事は、転職経験がある方に向けて「レファレンスを誰に頼めるかを意識しながら転職する」です。
最近は省略されることが多いですが、英文履歴書の最後は、References available upon request. で結ぶと決まっています。「私の過去の仕事ぶり・人柄について話を聞く必要がありましたら、お願いできる人はいます」と言う意味です。Referenceとは、転職活動の最後にオファーを出す手前で、転職エージェントや企業人事がお願いされた人に電話をして15分くらい話を直接聞くというものです。メールにしないのは、咄嗟の質問にどう答えるかを知りたいからと、転送やBCCされないようにするためでしょう。
ポジションが上に上がるにつれ、また転職回数が多くなった場合も、雇用主は候補者の過去を誰かに聞いてみたくなります。候補者が指名をする2人に電話をするわけなので、ネガティブな話が飛び出す事はなく、形式的とも言えますが外資ではかなり広く今でも行われているプロセスの一つです。
レファレンスでよく聞かれる質問
レファレンスでよく聞かれる質問は以下になります。
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一緒に働いていた期間
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仕事の内容
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仕事ぶり
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コミュニケーション力について
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将来の上司にアドバイスするとしたらどんな内容になりますか?
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何かつけ足したいことはありますか?
将来の転職先企業から「リファレンスをお願いする人2人を教えてください」と言われて、即座にお願いできる人はいますか?もし咄嗟に思いつかないようだったら、この先は聞かれる可能性が以前より高くなるので意識しましょう。
私は人事にいたせいもあるのか、元同僚や元部下からレファレンスを頼まれることが多かったです。具体例を挙げます。
具体例
20年前の元同僚には、彼が独立するまで3回リファレンスを頼まれました。仕事もできるし人柄にも優れた方なので、頼まれた方は気が楽でした。
ある元部下からリファレンスを頼まれたときは、どのように対応するか少し考えました。仕事はできる人ですが、大きな欠点が一つあって、バランスのとれたレファレンスと言う意味ではその点に触れるべきだからです。ただ、40代半ばの元部下の就職がかかっていたので、私はこの点には触れない、つまり嘘はつかないけれど全ては開示しないと言う道を取りました。前出の質問リストの#5「将来の上司に向けてのアドバイス」に対して、私は何も答えませんでした。多少引っかけ質問と知っていたからです。
人事の人間はレファレンスをすることにもされる事にも慣れていますが、他部署の方は経験値がバラバラだと思います。レファレンスをどなたかにお願いする時、されたことがあるかどうかをさり気なく伺い、初めてだとわかったらどのようなことを聞かれるのかと所要時間の目安などを先にお伝えしましょう。
私自身がリファレンスをお願いしてきたのは、元上司の方々でした。自分の仕事ぶりを一番わかっている人という意味での人選は正しかったのですが、うっかりしたのは、自分の年齢が上がるにつれ、元上司が全員リタイヤされたことです。20年先のことを考えていなかった結果ですが、転職先企業にすれば、リファレンスは現職の人が望ましいので、複数の元上司にばかり頼ってきた私は困りました。最終的には、元同僚と元部下にレファレンスを頼んでクリアしました。
キャリアのスタートから終盤までの期間は長いので、元上司・元同僚・元部下それぞれに、自分の仕事ぶりや人柄を好意的に話してくれる人が複数必要です。今から心がけておいてください。レファレンスを誰かに頼まれたら、お互い様なのでぜひ引き受けてください。
まとめ
最後に職場で敵は作らない方がいいです。言うは易く行うは難しですが、外資の世界は非常に狭いので誰が誰と繋がっているのかわかりません。思わぬところで誰かに足を引っ張られて大事な転職案件が潰れたりしないよう、職場の仲間とは程よい距離感でつき合うことがキャリアの後半戦で自らを助けてくれます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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