元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は転職経験のある方に向けて「英文履歴書は1ページめが命」をテーマに記事を書きます。

社会人経験歴が長くなり経験値・スキルが積み重なると、英文履歴書に書ける内容が増えます。それ自体は素晴らしいことですが、だんだん職歴の見せ方に工夫が必要になります。

なぜでしょう？

答えは英文履歴書をスクリーニングする人物が、履歴書の隅から隅までちゃんと読むとは限らないからです。特に人気が高い企業には、たくさんの応募者がいます。1ページめ、つまりは直近の経歴がパッとしない履歴書を、2ページ以降読む必要がないのです。

英文履歴書の1枚目が重要な理由

私は企業人事時代に通算で10万通の履歴書をスクリーニングしていますが、隅から隅まで全て読むことを100%とすると、7万通分くらいしか読んでいないはずです。候補者からみて応募企業との関係性は1対1ですが、企業採用担当から見ると同じ関係性は1対大勢になることを理解して、よく読んでもらえる履歴書を用意しましょう。 

最近の転職歴が多い方は1ページめは特に重要です。一目でジョブホッパーと映る経歴の書き方をしていると、そこでゲームオーバーになってしまいます。 

冒頭のSummary(概要)は長くても5行です。それ以上は読まれない可能性があるので、どの業界・職種に何年の経験があるのか、海外経験など差別化できる項目があれば入れ込んで、コンパクトにまとめます。強みを現す単語を並べる方がいますが、スペースを取りすぎるのであまり賢明な策ではありません。一瞥して、この候補者はどういう人材なのかがわかることが大切です。 

次に肝心な職歴です。在籍年数が短い会社に関して職務内容をたくさん並べてみても、採用担当は「短期間に、本当にこんなにできたのだろうか」と疑問視するのが普通です。職務内容の記述は最低限にしてAchievements(実績)を書きたいです。 

例えば職歴が下記のようだったとします。 

ABC Company     November, 2022 – Present 

XYZ Company     May, 2021 – October, 2022 

Happy Company   July, 2017 – April 2021 

直近の2社だけで1枚めを終わるのはリスクを伴います。在籍年数がかなり短い2社だけを目にすることになり、ジョブホッパーの印象になるからです。他にも候補者がいる場合、2ページ以降も読んでもらえる保証はありません。Happy Companyは3年半在籍していますので、1ページめの最後にどうしても社名と在籍年度を入れたいです。 

そのために必要なスペースは、短めのSummary, 強みの欄を削除する, ABC社とXYZ社を短めに書くなどの工夫で捻出します。 

実例を挙げると最初の職場が知名度の高い企業で6年在籍し、辞める時にカスタマサポートのマネージャーだった女性がいます。出産後しばらく、正社員の仕事に就かなかったので、直近の職歴だけを見るとあまり経験が詰めていないように映ります。彼女の場合も最近の経験を短く書いて、1ページめの最後に  

◯◯ Company　　　April, 2010 – June, 2016 

Customer Manager 

と2行入れました。普通ならレイアウトの美しさを考えて2ページめに回すところですが、ここでは知名度がある企業でマネジャー職だったことと、6年在籍していたことを見せるために敢えて入れています。転職エージェントからの反応が明らかに変わったと言っていましたので、1ページめは重要だということです。 

職歴に関しては何ページめかに関わらず、箇条書き5つくらいに留めたいです。それ以上書いても構いませんが読まれない可能性はあるので、上から5つの中に最も重要な職務内容を入れてください。 

まとめ

英文履歴書は候補者の顔であり、第一印象は重要なことを常に意識してまずは1ページめに最大限の力を注いで整えてください。書類選考に通過して面接の場を得て、思う存分アピールできるよう頑張ってください。応援しています！ 

プロフィール 

Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)

株式会社AT Globe 代表取締役社長　　

GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。１万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を８回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。

診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講

STAR面接技法 認定講師

ホフステード6次元異文化モデル　認定講師

お茶の水女子大学卒業。

著書

2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版）

2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」（日本実業）