元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は転職経験者に向けて、次の転職のタイミングをどう決めるかについてのコラムを書きます。
候補者にとっても、採用する企業にとってもベストのタイミングは、候補者が現職でこれ以上学び、成長することが無いないまでに成長し、現職に対してこれ以上貢献しようがないステージに達した時です。
実例を挙げましょう。行きつけのカフェのヘッド・バリスタが急に辞めることになりました。彼のキャリアのスタートは、大手日系自動車メーカーの営業企画です。海外でバリスタの修行を積み、プロ意識の非常に高い仕事をしています。
2年前にフリーランスとして現在のお店を立ち上げ、企画力を生かして様々なイベントを行い、常連も増えてお店は軌道に乗りました。やっと楽になったとも言えるのですが、彼のようにゼロイチが得意な人材は、メンテナンスモードに入りかけると、ゼロを求めて新しい場所を探したくなってしまうようです。
彼は、新しく店舗を構えるカフェに急に引き抜かれることになりました。個人的には非常に残念ですが、元人事としてはこれが理想的な「転職」のタイミングだと感じました。彼には、この店で働きながら学べることがもう存在せず、お店への貢献も十分しており卒業の時を迎えていておかしくないからです
このように理想のタイミングで転職ができれば良いのですが、人生いろいろ起きるため、転職したいタイミングが必ずしも理想的ではないこともあります。
そんな時、できれば現職があるうちに次の転職先を決めて欲しいです。理由は単純で、候補者が失職していると足元を見る企業が存在するからです。圧倒的に年収交渉で不利になり、前職の年収をキープできれば良しとするしかない、自分に交渉カードがない状態になってしまいがちです。
そうは言っても、現職にしがみつかない方が良いケースが2つあります。
1. メンタルのバランスを崩しそうになっている
どこの職場にも人間関係の軋轢は存在しますが、パワハラ・セクハラなどが理由で精神的エネルギーがダウンしてしまうことはあります。健康より大事なものは無いので、自分を支えられないかもしれないと感じたら現職を離れることを考えた方が懸命です。人事として見てきた過去の経験から、症状が悪化するだけなのが心配だからです。
休職して元の職場に復帰するという考え方もありますが、同じ仕事・同じ同僚がいる環境に戻ってみたところで、再発する可能性が高いため、なるべく現職を離れることを考えた方がいいです。
気をつけたいのは、心身の状態が良くない時は顔や態度に現れてしまうことです。面接で明るい印象を与えられなかったり、エネルギーレベルが低いと誤解されたりする可能性があります。面接の時だけは、何とかモチベーション高く元気に乗り切って欲しいです
2. モチベーションをどうしても保てない
現職から学べることはまだあるけれど、理由があってどうしても働き続けることが辛い場合、無理にしがみついてもパフォーマンスが下がりそうなので転職を考えましょう。
このケースの場合、面接で現職に対する不満をネガティブに伝えがちなので気をつけたいです。お世話になっている現職の社員・企業文化について外部に悪口を言う人は、新しい会社を辞める時にも同じことをしそうですし、あまりポジティブな人材と評価されないです。特にポジションレベルが高いポストの場合は、Immature(大人気ない、社会人として意識が低い)と誤解されないよう、転職理由を人間関係や会社への不満以外にした方が無難です。
まとめ
最後にまとめますと、転職するにあたっては「現職から学ぶ事がこれ以上ないかどうか、現職に貢献できる事もこれ以上ないかどうか」を振り返ることが大事です。明確にYESと言えない場合は、まだ動くのは早い確率が高いです。
転職は現職があるうちにした方が圧倒的に有利ですが、精神的に疲れて続けられなくなった時は、くれぐれも無理をしないで心身を休めて新たなスタートを切ってください。応援しています。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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