元・外資系人事部長、元グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日ははじめて転職する人が、現職を辞めるにあたって気をつけたいことを解説します。
1. 退職届けを提出するタイミング
はじめての転職で内定が出るとほっとしますし、とても嬉しいものです。現職を早く辞めたいと思っていると、つい退職願をすぐ出してしまいたくなります。
しかし、ここは要注意です。
確かに内定は出ました。採用する企業に悪意はなく、本当にオファーを出そうとその時点では思っています。
ただ外資の場合、事情が急に変わる事が残念ながらあります。
例えば運悪く、採用凍結のおふれが本社から全世界に出て、まだオファーレターを正式に出していない候補者にお断りをしなくてはいけなくなることもあり得ます。
以前、相談を受けた方は、内定が出た段階で退職願を出してしまいました。
一刻も早く現職を辞めたいと思っていたので、待つことができなかったのかもしれません。
なかなかオファレターが届かないので不思議に思っていたら、前出の採用凍結に引っかかってしまったのです。
退職願さえ出していなければ、とりあえず現職で勤め続けることができましたが、彼の場合は転職したい理由が、上司との折り合いが悪いだったのです。
一度出した退職願いを引っ込めることができず、現職が無い状況で転職活動することになってしまいました。圧倒的に不利なので、内定が出ただけで、退職願を出す事は避けて下さい。
2. 引継ぎ期間
外資系での中途採用は、前任者が辞めてポジションが空いたからと言う理由が1番多いです。
なるべく早くそのポジションを埋めたいと思っています。
一方、候補者の立場からすると、現職が日系大手の場合、引継ぎをちゃんとしなければいけないと言う事情があります。
双方の妥協点を見いだすことになりますが、外資系の許容範囲はだいたい以下の通りです。
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スタッフレベル: 2ヶ月
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マネージャー以上: 3ヶ月
それ以上待って欲しいと言われたら「他に誰か候補はいないのか」になりがちです。
うまく交渉を進めると同時に、候補者のほうも引き継ぎを書類に残すことで短縮できないかなど、なるべく早く次の職場に移れるよう努力したいです。
現職に後ろ足で足を直かけるような事はしない方が良いですが、転職するとなったら大事なのは次の職場だと言う事を、頭に入れて進んでください。
3. 引き留められたらどうするか
現職にとって重要な人材の場合、辞めると意思表示をした後に引き留めが入る可能性があります。
日本企業であれば、配置転換や将来の可能性(駐在等)を会社側から伝えられるかもしれません。
外資系であれば、給与の増額やストックオプションの付与などの話が出ることもあるでしょう。
ここでよく考えたいのは、なぜ転職活動を始めることになったかです。
原点に立ち返れば、仕事にやりがいがない・人間関係・会社の方針に共感できない・給与水準など、理由があって転職活動をすると決めたのです。
一時の感情で、留まることはお勧めできません。
私は企業人事を25年やり最後の10年間は人事の責任者だったのですが、会社が引き留めた人材が一年以内にやはり辞めていくのをたくさん目撃してきました。
「一度組織から心が離れた人を引き留めてみてもしょうがない」が、私の人事としての結論です。
裏返せば、皆さんが一時の感情で現職に留まってみても、結局辞めることになる確率はかなり高いので、目の前にある次のチャンスの可能性を客観的に分析して判断することをお勧めします。
まとめ
本日は初めて転職する方のために、退職するときの注意点を解説しました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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