転職活動の際に内定が決まると、企業からオファーレターが送られてくる場合があります。オファーレターは、外資系企業ではよく聞かれますが、日系企業ではあまりなじみがなく、何のことかわからないという人もいるでしょう。
ここでは、オファーレターの役割とは何か、またオファーレターに記載されている内容について交渉の余地があるのかといったことについて解説します。併せて、労働条件や仕事内容を説明する場である、オファー面談についてもご紹介しましょう。
内定と労働条件を通知するオファーレター
オファーレターとは、採用を正式に通知する書類であり、転職後の働く条件を記載した労働条件通知書の側面もあります。
オファーレターには、採用内定の事実と労働条件を、口約束ではなく書面として残す役割があり、それによって入社後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。応募者がオファーレターの内容を確認し、オファーレターまたは同封の書類にサインして送り返すと、正式な内定承諾となります。
オファーレターに記載されている項目は、一般的に下記のようなものがあります。
<オファーレターに記載される主な項目>
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ポジション(入社後に配属される部署名、役職など)
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入社予定日
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勤務地
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勤務時間
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休日・休暇
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試用期間と試用期間中の扱い
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給与・年俸(理論年収)の額と支給方法
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賞与の有無と支給条件
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インセンティブの有無と支給条件
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昇給条件
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残業代
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福利厚生
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RSU(制限付き株式付与業績給)の有無
外資系企業では入社前の条件交渉はオファー面談の前に行う
内定者が企業の人事担当者から労働条件や仕事内容などについて説明を受け、両者で確認をするための面談をオファー面談といいます。オファーレターは、オファー面談の内容を書面にまとめたものです。
内定者は、入社前に労働条件などについて転職先企業と交渉を行うことができますが、多くの外資系企業では、交渉はオファー面談の前までに行います。つまり、内定決定とオファー面談のあいだに、条件交渉のための面談を行うということです。
日系企業の場合は、オファー面談で条件交渉を実施することもあるようですが、外資系企業ではオファー面談はあくまでも最終確認あるいは最終調整の場。外資系企業では本国との調整を終えた上でオファー面談を行いますから、オファー面談時に条件交渉をしても、変更するのが難しい場合が多いでしょう。
このあたりの事情は、企業によって異なります。条件交渉のタイミングについては、転職先企業にスケジュール確認をしておくのが確実です。
オファー面談までにできる条件交渉の内容は?
外資系企業では、オファー面談までに雇用の条件について交渉しておく必要があります。しかし、どのようなことでも交渉できるわけではありません。交渉の対象となる条件は、主に下記のようなものがあります。
給与・年俸
提示された給与や年俸額が低いと感じたときは、譲れない額を示すなどして交渉をする余地があります。論理的・合理的に根拠や理由を伝え、交渉しましょう。
ただし、外資系企業の場合、最終面接までに、ある程度給与や年俸の額は決めておくのが通例です。そのため、条件交渉やオファー面談の場であまり大きな変更を申し入れると、最悪の場合、内定取り消しになることもあるので注意してください。
RSU
外資系企業でよく見られるRSUとは、賞与の一部として自社株を4~5年などの数年に分けて支給する制度です。給与などと同じく、支給される株式数などについて交渉することが可能な場合があります。
入社予定日
在職中に転職活動をしていた場合、入社予定日を調整する必要が出てくることがあります。後任者を見つけるために時間がかかったり、強く引き止められるなどして、自分が考えていたよりも退職日が遅れてしまったりすることがあるためです。
オファーレターの回答期限
オファーレターは、受け取ったら内容を確認し、署名して返送することで内定承諾となります。回答期限は10日前後が多いようですが、ほかの応募企業の選考結果を待ちたい、じっくり検討したいなど、期限内に回答できないこともあるかもしれません。入社予定日の調整が必要になりそうなときなど、多少であれば期日を引き延ばせる場合もあるでしょう。
ただし、延長できるのは、1週間程度が限度です。あまり印象の良いものではありませんから、できるだけ期限内に回答するのがベストでしょう。
条件交渉する場合は誠意を持って、明確な根拠を提示する
条件交渉は、それまでの面接と違い、選考と直接の関係はありません。あくまで、入社後の労働条件などについて確認や相談、交渉をする場です。
しかし、交渉において内定者の主張が一方的すぎたり、これまで面接で話していた内容との乖離が見られたり、どうしても企業との条件が合わなかったりした場合には、内定取り消しになる可能性もあります。条件交渉は慎重かつ、誠意を持って行うべきであるということを認識しておきましょう。
また、交渉に際して、明確な根拠を示すことも重要です。例えば、給与について希望額を伝えるときは、自身の能力に関する客観的評価を示すデータや、業界の給与水準データなどを根拠に交渉する必要があります。もしくは、競合他社からもオファーがあるのなら、そこで提示された給与額を示すのも有効でしょう。
なお、転職エージェントを利用していれば、条件交渉をエージェントに任せることが可能です。企業の採用の背景や、譲歩できる幅を理解した上で交渉してもらえるので、内定者の労力を減らし、交渉の成功率を高められるでしょう。
現職での退職交渉はオファーレターをもらってから
オファーレターやオファー面談、条件交渉に関連する項目の中で、給与と並んでトラブルに発展しやすいのが入社予定日です。
正式な内定は、あくまでオファーレターを受け取ったときであり、書類にサインして返送し、受諾されたときに入社が決まります。現職の企業に対して退職の意思を伝えるのは、オファーレターが届いてからが安心でしょう。
そこで問題となるのが、想定どおりのスケジュールで、今の会社を辞められるかどうかです。特に、外資系企業の場合、内定承諾から入社までは、1ヵ月~1ヵ月半程度が目安です。延ばしてもらえたとしても、2ヵ月が限度でしょう。あまりに引き延ばすと、それが原因で内定取り消しとなる場合もあります。
就業規則では、1ヵ月前に退職の意思表示を示すと定めていることが多いです。しかし、すんなり1ヵ月で退職できるとは限りません。昇給や役職の提示などで引き止め交渉を行う「カウンターオファー」を受けることもあるでしょう。転職の意思を固めたら、「業務内容をまとめる」「マニュアルを作成する」などして、1ヵ月で引き継ぎを終わらせるように準備しておくことも重要です。
仮に、今の会社に引き止められても、法律では最短で2週間前までに退職の意思を伝えれば退職できると規定されています。退職はできるだけ円満に行うべきですが、最終手段として2週間で退職することも可能なことを覚えておいてください。
カウンターオファーについてはこちらの記事もご覧ください
条件交渉はオファーレターをもらう前までに行おう
今回はオファーレターと、オファーレターが届く前の条件交渉に関して解説しました。オファー面談を行う前に実施する条件交渉については、慎重かつ誠意を持って、明確な根拠を示しながら行うよう心掛けましょう。
また、給与面については、それまでの面接の中である程度話をして、内容を詰めておくことが重要です。入社予定日は早めに見計らっておき、現職の企業にも転職先に企業にも迷惑をかけないよう、転職活動を始めた段階で引き継ぎマニュアルを作成しておくなど、退職の準備をしておいてください。交渉が難しい、または得意でない場合は、転職エージェントの利用を検討してみてもいいでしょう。
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