ウェブ面接は、面接をする側・される側双方に多くのメリットがあることから、ここ数年で導入する企業が増えました。ウェブ面接で重要なのは、事前の準備をしっかりしておくことと、マナーを守って面接に臨むことです。
ここでは、初めてウェブ面接を受ける人に向けて、事前に確認しておきたいことやマナーのほか、よくある疑問をご紹介します。
ウェブ面接とは?
ウェブ面接は、地方や海外など遠隔地に在住していて、企業を訪問して直接面接を行うのが難しいときなどに、ウェブ上で行われる面接方法です。遠隔地の優秀な人材とのマッチング機会が増え、採用の間口拡大が期待できるほか、採用担当者の時間的負担の軽減と、採用スケジュールの短縮にもつながることから、ここ数年で実施する企業がかなり増えました。最近では、対面を避けるためにウェブ面接メインで選考を行う企業も多いです。
候補者にとっても、面接に行く時間とコストをかけずに多くの企業に応募できるウェブ面接は、メリットが大きい面接スタイルです。ただし、気になるのが対面での面接とウェブ面接で内容が違うのか、また、どちらが有利なのかという点ではないでしょうか。
結論からいえば、どちらの形態を選んだとしても、面接の内容や選考基準に違いはありません。
とはいえ、対面での面接に比べて表情や雰囲気がつかみにくいため、ウェブ面接のほうがミスコミュニケーションにつながりやすいのは確かです。対面での面接よりハードルが低く感じますが、実際は直接面接をする以上に入念な準備が必要といえるでしょう。
ウェブ面接で事前に確認・準備しておくこと
服装やヘアスタイル、言葉遣いといった基本的な準備は、直接面接するときとウェブ面接で変わりはありません。ただし、インターネットを介してのコミュニケーションになるため、情報のやりとりに若干のタイムラグが生じたり、映像が乱れたりといったトラブルが生じる可能性があります。
企業側も、トラブルが起こることを見越してウェブ面接を実施しているはずですが、「聞き取りにくい」「よく途切れる」といった状態が続くと、面接官は悪い印象を抱きかねません。できるだけ不安感や不信感を与えないよう、しっかり確認・準備しておくことが重要です。ここでは、事前に準備しておくべき8つのことを、具体的に確認していきましょう。
1 ウェブ面接のツールを確認
ウェブ面接のスタイルは、Google Meet、Skype、Whereby、Zoomなど、オンライン会議ツールを介して行う形式が一般的です。
応募企業がどのツールを使用するか、事前に採用担当者から案内がありますので、どういったツールなのか確認しておきましょう。オンライン会議ツールを初めて使う場合は、アプリやソフトをダウンロードしたり、IDを取得したりしておかなければならない場合もあります。一度アクセスして、きちんとつながるかどうか確かめてください。
2 アイコンやプロフィール画像をチェック
企業が指定するオンライン会議ツールを以前から使っている場合は、そのまま利用して問題ありません。ただし、表示名やアイコンは見直しておきましょう。
例えばSkypeなら、ID、表示名、アイコン、ムードメッセージといった情報が相手に表示されます。プライベートでSkypeを使っていると、こうした情報がビジネスに適していない可能性があるため、注意が必要です。表示名は本名、アイコン画像は正面から写っているカジュアル過ぎない社会人として許容できる写真を設定するか、何も設定しないようにしてください。IDが私的で不適切な場合、別にアカウントを作っておくことをおすすめします。
3 接続環境を確保しておく
インターネット環境さえあればどこでも受けられるウェブ面接ですが、周囲の雑音や余計な情報の映り込みをできるだけシャットアウトし、安定した接続環境を確保する必要があります。
自宅に安定した通信環境が整っているなら、自宅で行うのがベスト。カフェなど第三者の出入りがある場所は、音声の面でもセキュリティの面でもおすすめできません。
接続については、事前にインターネットの速度を測るスピードテストを実施しておきましょう。オンライン会議ツールを利用する場合は、「上り1Mbps」「下り10~30Mbps」程度の速度が必要とされています。速度が低い場合は有線で接続したり、ルーターを交換したりといった対処が必要です。
インターネットで「スピードテスト」と検索すると、無料で測定できるサイトが見つかります。
4 画面の確認
比較的、デスクトップパソコンは顔と画面が正対しますが、ノートパソコンやタブレット端末は、どうしても上からのぞき込む姿勢になります。そのままウェブ面接に臨むと、面接官は候補者に見下ろされているように感じる上、候補者の顔をしっかり確認することができません。表情も見えにくく、熱意や誠意も半減して見えてしまうので、顔が真正面から映るように画面の位置を調整しましょう。
内蔵カメラがなければ、外づけのウェブカメラを購入し、取りつけておきます。スマートフォンを使用する場合は、手に持つと画面が揺れるため、スタンドなどを用意しておくことをおすすめします。
また、意外と手を抜きがちなのが背景です。ウェブカメラは以前に比べて性能が上がり、広角できれいに映像を映すことができるようになりました。自室の乱雑に積み重なった洋服や散らかったベッドなどが映り込むと、どれだけ身なりを整えても面接官にはマイナスの印象を与えてしまいます。最低限、映り込みが予想されるスペースはきちんと整頓し、掃除しておきましょう。
5 書類を印刷して手元に置いておく
事前に提出している履歴書や職務経歴書、ポートフォリオなどは、同じ物を印刷して手元に置いておきます。伝えたいことや質問したいことなども、メモ書きにしておくと安心です。
ただし、書類が手元にあると、どうしても視線が下に落ちてしまいます。当日はあまり書類を意識せず、しっかりカメラを見て受け答えするようにしましょう。目線の上か先の壁に貼っておくと、視線をまっすぐに保つことができます。
6 メモ用紙とペンを準備しておく
必要書類と併せて、メモ用紙も机の上に置いておきます。普段、会社の会議などでオンラインミーティングツールを使い慣れていると、ついパソコンでメモをとりたくなってしまいますが、面接中はNGです。
面接官の耳には、思いのほか大きくタイピング音が響きます。目線を外さないよう注意しながら、または「メモをとらせていただいていいでしょうか」と断って、手書きでメモをとるようにしましょう。
7 服装を整えておく
ウェブ面接を受ける場合、場所は自宅でも面接です。必ずしもスーツでなくても構いませんが、企業で直接面接をするときと同じように、清潔感のある服装と身だしなみを心掛けましょう。
なお、個性を求める企業では、私服のほうが好印象を与えることもあります。派手な装飾がある服や毒々しい色使いの服は避け、企業の雰囲気に合わせてコーディネートしましょう。ヘアスタイルについても同様です。そのまま仕事に出掛けてもおかしくない髪形を基準に、きちんと整えておくようにしてください。
8 充電を確認する
面接中にパソコンやスマートフォン、イヤホンなどの充電が切れてしまうと、面接に支障をきたすことになります。滞りなくウェブ面接が進むように、必ずフル充電されていることを確認し、万が一に備えてモバイルバッテリーや充電器を用意しておくと安心です。
ウェブ面接でよくある疑問
「これはやってもいいの?」「どこまでがOKで、どこまでがNGなの?」など、初めてのウェブ面接ではわからないことだらけ。疑問や不安は、準備段階で解決しておきましょう。続いては、ウェブ面接でよくある疑問と解決法をご紹介します。
パソコンではなくスマートフォンでウェブ面接を受けたい
ウェブ面接は、スマートフォンやタブレット端末で受けてもOKです。ただし、手に持ったまま受けるとカメラが揺れ、視線もぶれるのでおすすめできません。
スマートフォンを使用する際は、きちんと固定できる環境を作り、両手はフリーにしておくことが大前提です。
会話を聞き取りやすくするために、イヤホンマイクを使ってもいい?
イヤホンマイクを使うと、相手の声がしっかりと聞こえ、自分の声も届きやすくなります。面接をよりスムーズにするためのツールなので、面接官も使用している可能性があります。応募者の使用も問題ありません。事前に音声テストを実施しておきましょう。
自宅以外でウェブ面接を受けても大丈夫?
何らかの理由で、自宅でウェブ面接を受けるのが難しい場合もあるでしょう。企業から特に指定がなければ、自宅以外でウェブ面接を受けても構いません。
とはいえ、公園やカフェなど、人の行き来が多く、騒音が気になる場所は避けましょう。音がしっかり遮断されているネットカフェの個室などを選んでください。
ウェブ面接の場所についてはこちらもご覧ください。
Skype(スカイプ)面接に適切な場所選びと、受ける際の注意点
バーチャル背景や壁紙を使ってもいい?
オンライン会議ツールで、バーチャル背景を設定したり、ぼかし機能を利用したりする人は多いですが、ウェブ面接の場合は避けたほうが無難です。
背景は画面の中でも大きな割合を占めますから、それによって印象が変わったり、話の内容が頭に入ってこなかったりする可能性があります。できれば、何もない白い壁を背景にウェブ面接を受けることがおすすめです。どうしてもバーチャル背景を設定する場合は、シンプルな無地の白を選んでください。
カーテンを背景にしたいという人もいますが、無地の白や淡い色なら問題ないでしょう。派手な色や柄がある場合は、バーチャル背景と同様に好ましくない印象を与えるおそれがあります。カーテンを背景にする場合は、汚れがないか、逆光で顔が暗く映らないか、隙間から光が漏れないかなどもチェックしてください。
途中で不具合が起きたらどうしよう…
入念に準備していても、トラブルが起こることはあります。ウェブ面接中に接続が不安定になって、音声が聞こえなくなったり、画面が動かなくなったりした場合は、オンライン会議ツールのチャット機能で面接官に状況を知らせてください。
開始時間に何らかのトラブルでインターネットがつながらなかったり、途中でシャットダウンしてしまったりといった不測の事態も想定して、担当者の緊急時の電話連絡先は控えておきましょう。すぐに電話して慌てず冷静にトラブルがあった旨を説明し、面接の時間や方法などの指示を受けます。
ウェブ面接のマナーと注意点
ウェブ面接では、インターネットを介して会話をするという違いはありますが、基本的には対面の面接と同じマナーが求められます。
ウェブ面接に臨むにあたって、知っておくべきマナーと注意点を紹介します。
約束の時間の5分前には準備を済ませて画面の前に座る
対面の面接の際、約束の時間に余裕を持って企業へ向かうのと同じように、ウェブ面接でも5分前には画面の前に座りましょう。音声や画面のテストなども、始まる5分前には済ませておいてください。
面接の最初と最後はきちんと礼をする
ウェブ面接が始まったら、通話ができる状態であること、お互いの姿がきちんと見えていることを確認し、きちんと一礼して「こんにちは、◯◯(名前)と申します。今日はお時間をいただきありがとうございます」などと挨拶をしましょう。対面の面接より声が通りにくいことを考えて、いつもより声を張るのがポイントです。
面接では緊張から早口になりやすく、ウェブ面接では特に聞き取りづらくなりがちですから、ゆっくり話すことも心掛けてください。
ほかのアプリやソフトは落とす
LINEやTwitterなど、通知音があるアプリやソフトを入れている場合は、面接のあいだだけでも通知音を出さないようにしておくか、アプリ自体を終了させておきましょう。相手に通知音が聞こえ、面接の邪魔になったり、不快感を与えたりするのを避けるためです。
不要なアプリやソフトを落としておくことで、通信の安定にもつながります。
画面ではなくカメラを見る
ウェブ面接で面接官と視線を合わせるには、画面ではなくカメラを見なくてはなりません。つい、対面での面接の癖で画面上の面接官の目を見たくなりますが、意識してカメラを見てください。
あごが上がって偉そうに見えたり、伏し目がちで自信がなさそうに見えたりするのを避けるため、カメラの位置には細心の注意を払う必要があります。
開始前には準備ができた旨を、終了後にはお礼を伝える
面接開始時間になったら、いきなり呼びかけるのではなく、メッセージ等で準備ができていることを連絡して企業からのアクセスを待ちます。こちらから急に通話を始めるのは失礼ですが、遅刻したと思われるのを避けるため、スタンバイしていることを伝えておくことが大切です。
面接が終了したら、時間を割いて面接をしてもらったことに対して、「お時間をいただき、ありがとうございました。よろしくお願いいたします」と、丁寧にお礼を伝えましょう。
焦らず、間を置いてゆっくり話す
ウェブ面接は、対面での面接と違って、通話にタイムラグが生じる場合があります。「熱意を伝えなければ」「すぐ回答しなければ」と思うあまり、つい先走って相手の質問から間を置かずに話してしまうと、キャッチボールがうまくいかない可能性があります。「せっかちな人」「自分ばかり話す人」という印象を与えかねません。緊張しているとなおさら早口になりやすいので、いつもよりゆっくり、間をとって話すようにしましょう。
しっかり準備してウェブ面接を成功させよう
今やウェブ面接は特別なものではなく、一般的な面接手段になりました。対面の面接なら何度も受けたことがあっても、初めてのウェブ面接は勝手がわからず緊張するもの。
当日になって「音声が聞こえない」「画面がきちんと映らない」といった機器の不具合があると、余計に焦ってミスにつながってしまいます。また、自分が相手にどう見えているかを確認しておかないと、知らず知らずのうちに相手に悪い印象を与える可能性も否定できません。ウェブ面接を成功させるために、事前にマナーや注意点を押さえて、しっかり準備しておきましょう。
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