世界52カ国 200都市以上の拠点からビジネスを行う、世界最大級のコンサルティングファームであるアクセンチュア株式会社。
前回は製造・流通本部(PRD)のマネジング・ディレクターとしてFinance ManagementのFunction Leadを務められている平治様にグローバルカンパニーとしてのアクセンチュアや、ファイナンス領域でアクセンチュアがどのような取り組みをしているかなどをお聞きしました。(前回の記事はこちら)
今回、製造・流通本部のマネジメントコンサルタント(MC)でシニア・マネジャーを務められているAtsushi様に、これまでのご自身のキャリアやグローバル企業として成長するために必要なこと、さらには中途採用面接で候補者のどこを見ているかなどをお聞きしました。
-本日はお時間いただきありがとうございます。
まず、Atsushi様のこれまでのご経歴を簡単に教えていただけますか?
アクセンチュアは2社目でして、前職ではSAPの導入コンサルティングをやっていました。 プライムで案件を取れる規模ではなかったのでいろいろな会社のアンダーで働きましたが、各社のワークスタイルや社風の違いなども見ることができて良い経験でした。
3年ほど経って次のキャリアを考えた時に、プライムで仕事を取れて責任のあるポジションで仕事をしたいと考え、アクセンチュアに転職しました。
-転職活動の際は、同業他社も含めコンサル業界を見ていらっしゃったのですか?
そうですね。将来的にはシステム以外もやってみたいという思いがあったので、総合系コンサルファームを中心に転職活動をしました。前職時代にアクセンチュアとも一緒に仕事をした経験があり他社と比較して優秀な人が多くいた印象があったので、こういった方々と一緒に仕事をしたいと思いアクセンチュアを選びました。
-実体験に基づくところが決め手になったのですね。
入社からのキャリアでどのようなことをされてきましたか?
転職してしばらくの間は前職の経験を活かせるSAP関連のプロジェクトに多く携わりましたが、もともとシステム以外のこともやってみたいということで転職したので、数年前にテクノロジーから現在の部署にトランスファーし、最近では経理財務業務のGlobal Shared Service Center構築・展開プロジェクトを担当しています。
一般的にはコンサルタントの仕事は半年なり早ければ3ヶ月スパンでプロジェクト・クライアントがどんどん変わるというイメージがあるかと思いますが、私は一つのクライアントが長く、転職して9年ほど経ちますが今のクライアントが3社目です。
-一つのプロジェクトが終わったらまた次のプロジェクトという形でクライアントとの関係が続いていくイメージですか?
そうですね。4年間担当したクライアントでは国内拠点へのSAP導入の企画・構想から始まり、その導入・稼働後支援、海外子会社への展開計画・導入、といった感じで次々に後続案件を担当しました。その後少しシステムから離れ、管理部門の業務効率化に向けたBPRなども経験しました。
1つのクライアントに長くいれば深く中に入り込むことができますが、短いスパンでプロジェクトが変わるのも新しい経験を数多く詰むことができるので、どちらにも良さはあると思います。最近では私のように同一クライアントに長く在籍している社員に対し、プロジェクトを離れて別のことをやりたいという希望が無いか会社として意向を確認する取組みも始まっています。
適切にヘルプを求められることが重要
-製造業だとグローバルにビジネスを展開しているクライアントも多く、グローバル案件も多いと聞きます。日系企業がグローバル化に苦労している理由に共通項はありますか?
「地球規模でビジネスを展開し、効率的に利益を上げる組織となること」というのを企業のグローバル化の定義だとすると、日系企業には本社主導の活動・取組をグローバルで推進することのできるグローバルリーダーが不足している、という事が言えると思います。
少し話は変わりますが、欧米系の多国籍企業が過去30年で大きく企業価値を増大させている一方で、日系企業も着実に伸びてはいるものの、海外企業の成長スピードについていけていません。
「Globalization Pathways」という、企業のグローバル化における過程をテーマにしたアクセンチュアによる調査があります。この調査によると、グローバル化を成し遂げ飛躍的な成長を遂げた海外の企業が共通して辿った道筋(Pathways)があることが明らかになりました。その道筋というのが、”Sales & Marketing”、 “R&D”、 “Supply chain”、“Finance”、 “Talent & Organization”、“IT”の6つのフォーカス領域と、各領域における取り組みになります。(詳細はこちら)
ドメスティック企業が海外に出て行こうとしたら、まずは世界各地に営業支店・工場を設立する必要があり、これがグローバル化への最初のステップとなります。その次にやるべきことは、世界各地に広げたものを本社で集約・集中して管理すべきものと、各地でローカライズすべきものの選別です。このステップを踏まないと更なる発展は見込めません。
海外企業がこの第2ステップである業務・機能の再配置をうまくやっている一方で、日系企業はグローバルリーダーの人材不足のために世界各地に進出した所で止まってしまっているケースが多いように感じます。
過去に担当したクライアントでも、“現地のことは現地任せ”というスタンスのもとグローバルにビジネスを拡大していった企業があるのですが、最近になって本社で集約・標準化をしてコントロールを効かせる業務と、各地域での競争力の源泉として分散させるべき業務の見直しをしたい、という相談を受けました。まさにグローバル企業として更なる成長を目指したことで新たな課題が顕在化し、次のステップに進もうとしているのだなと感じました。
-アクセンチュアが提供する全社トランスフォーメーションはどういうものがありますか?
「Globalization Pathways」に繋がる話になりますが、グローバルレベルで効率性の高い企業運営を目指そうとしたら、当然ITシステムは統一されていたほうが良いし、それを運用するオペレーション部隊も統一されていたほうが良いです。前述の6つのPathwaysはどれか1つだけが突き進んでいてもダメで、全体が足並み揃えて進化していかないと大きな効果を得られません。
クライアントは現在どの地点にいて、どこを目指してどんな取り組みを推進して行くべきなのかを見極めて、クライアントを全社レベルでの変革に導くことがアクセンチュアの提供する全社トランスフォーメーションです。
-現在所属されているチームについてお聞きしたいのですが、現在シニア・マネジャーという立場でどのような業務を行っているのでしょうか?
デリバリーの現場では、プロジェクトの進捗や推進上のリスク・課題についてクライアントに報告する業務を主に担当しています。プロジェクト全体の品質・リスクをコントロールするのが管理職としてメインの仕事だと考えていますので、下について作業してくれているメンバーのレビューに時間を割けられるように、管理職に上がってからは極力手を動かす細かな作業は自分では持たないように心がけています。
また、溢れた仕事や、自分が意思決定・コミュニケーションした方が進めやすい仕事は巻き取るようにして、プロジェクトメンバーが作業しやすい環境を作るようにしています。
-チームのメンバーに求めることは何ですか?
任せた仕事を仕上げる、というコミットメントの高さでしょうか。完了基準を高く持っている人はどのプロジェクトでも重宝されますし、結果として社内でも評価され昇進も早いと思います。
依頼された仕事をどこで終わりにするかは人それぞれの裁量次第というところがあるので、期待値を超えてやってくれる人は非常に助かりますし、きちんと評価してあげたいなと思います。
-求められている以上のアウトプットを出すというのが、アクセンチュアで活躍する人の特徴の一つとしてあるのですね。それ以外には何かありますか?
適切にヘルプを求められる人でしょうか。
特に中途で入られた方に多い傾向だと思うのですが、自分で抱え込んでしまって、進め方が分からず手が止まってしまい、ふたを開けてみると全然進んでいなかったということがあります。
一方で立ち回りがうまい人は、分からないことがあれば周りにヘルプを求めて解決し、アウトプットを出すまでのスピードが速いです。
責任感が強すぎると「これは私の仕事だから自分で解決しなければ」と考えてしまうのかもしれませんが、適切に周りにヘルプを求められるというのも重要な要素だと思います。
タイトなスケジュールの中でアウトプットを出す必要がある
-アクセンチュアには中途で入社される方も大勢いらっしゃると思います。
その中でも、事業会社側から転職されてくる方が最初に苦労されるポイントは何でしょう?
最近事業会社から転職して来た方と話す機会があったのですが、仕事に対する取り組み方の違いに最初は戸惑った、と言っていました。
上司があれこれ細かく指示を出し部下はそれに従って作業するスタイルが前職の事業会社では普通だったようですが、転職して最初のプロジェクトでは大まかな作業指示があるのみで、後から追加の指示があるものだと思って待っていたら「分からない事があるなら何で聞かないのか?」と注意を受けたそうです。
先ほどのコミットメントの話にも繋がると思いますが、受け身で指示を待つスタイルでは無く、任された仕事を終わらせるうえで足りない情報があるのであれば自発的に動いて取りに行くスタンスが求められると思います。
また、事業会社ではプロジェクト型で仕事をする経験が無かったため、タスクをブレイクダウンし、一つ一つに明確な期限を設定し、遅れそうならリカバリ案を考えて、といったプロジェクトワークに慣れるのに時間がかかった、ということも言っていました。
-つまりアウトプットに対するスピード感が違うということでしょうか?
そうですね。事業会社と違って決まった期間でアウトプットを出す事が契約で縛られていますので、自然とこうなるのかなと思います。タイトなスケジュールの中でアウトプットを出すために、上司の指示を待つのではなく、与えられたタスクがプロジェクトの中でどんな位置付けのもので何のためにやっているのかを各自が考え理解し、能動的に動いていく必要があるという点は意識が必要だと思います。
慣れの問題なので、事業会社からの転職を考えられている方もそこまで気にする必要は無いかと思いますが。
-日々面接をする中でAtsushi様が重視しているところはどこでしょう?
何でもやりきるバイタリティがありそうか、 未経験領域だとしてもキャッチアップして乗り越えてやろうという意気込みがあるか、環境が変わってもフットワーク軽く立ち回れそうか、といった点を主に見ています。
現職でのワークスタイルや仕事に対する姿勢を伺いながら、入社されたあとにプロジェクトでワークするイメージが持てるかどうかで最終的に判断しています。
-スキルとコンサルタントとしての素質のバランスはどう見ていますか?
クラスにより異なりますね。
スタッフクラスはスキル・経験よりもコンサルタントとしての適性を重視します。やる気のある方であれば業務知識についてはすぐにキャッチアップ可能ですし、実際そういう方を多く見ていますので。
マネジャークラスになると現場責任者としてプロジェクトを回す役割になりますので、適性に加えて業務知識・経験の有無についてもある程度加味して、入社後早いタイミングで活躍頂けそうかを見ています。
-最後に転職希望者の方へ一言メッセージをお願いいたします。
日々の業務の繰り返しに飽きを感じていたり、今の仕事でこの先どんな経験を積めるのか先が見えてしまいどこか物足りなさを感じていたりする方にとっては、コンサルティング業界は変化に富み刺激があってとても良い環境だと思いますので、是非チャレンジしてもらいたいです。
中でもアクセンチュアは業界・業務・提供ソリューションの3軸でほぼ全てのコンサルティングテーマをカバーしていますし、グローバル案件も多く、この会社でやれない仕事はほぼ無いと思います。また、やりたいと手を挙げればやらせてくれる環境ですし、仮に他のことに興味が移れば他部署への異動も制度として整っています。
幅広いコンサルティングテーマがあり、手を挙げればやらせてくれる環境なので、自分次第で刺激的な生活を送ることができると思います。
-こういうイメージのキャリアを積みたいというのを持っている方であれば、自分次第でどうとでもなる?
そうですね。仮にチャレンジしてみたい事が未経験の領域だったとしても、勉強してキャッチアップする意欲があれば周りの人もサポートしてくれます。
すごく特異な業界だなと思うのですが、我々はクライアントに成長させてもらいながらもお金を頂いて仕事をしています。
日々成長させてもらいながらお金をもらい、かつ自分の興味のある領域で仕事ができる、というのは他の業界にはあまりないコンサルティング業界の大きな魅力だと思います。
-本日は貴重なお時間ありがとうございました。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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