グローバル化とは、国や地域の隔たりがなくなり、世界中で社会的・経済的に影響し合うようになることです。また、「企業のグローバル化」とは一般的に、企業が複数の国に事業を展開することを指します。企業は海外進出によって商圏を拡大し、ビジネスを成長させることができるのです。ただし、企業がグローバル化を進めるには、グローバル人材が必要になります。
ここでは、グローバル人材とはどのような人材を指すのか、グローバル人材の定義やグローバル人材に求められるスキルをご紹介します。また、企業でグローバル人材を育成する方法についてもご紹介しましょう。
グローバル人材の定義とは?
グローバル人材とは、具体的にどのような人材のことを指すのでしょうか。
まずは、文部科学省、総務省、グローバル人材育成推進会議がそれぞれ言及・定義する、グローバル人材の基準について見ていきましょう。
文部科学省のグローバル人材の定義
文部科学省は、グローバル人材について下記のように言及しています。
「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」
※文部科学省「産学官によるグローバル人材の育成のための戦略」(2011年)
総務省のグローバル人材の定義
総務省では、グローバル人材について下記のように定義しています。
「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性と積極性、異文化理解の精神等を身につけたさまざまな分野で活躍できる人材」
※総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価<評価結果に基づく勧告>」(2017年)
グローバル人材育成推進会議のグローバル人材の定義
海外留学の拡大を図る目的で設立されたグローバル人材育成推進会議は、グローバル人材には下記の要素が求められると定義しています。
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要素I:語学力・コミュニケーション能力
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要素II:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
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要素III:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ
※グローバル人材育成推進会議「グローバル人材育成推進会議 中間まとめ」(2011年)
グローバル人材が注目されるようになった背景
日本においてグローバル人材が注目されるようになった背景として、ICTの普及や少子高齢化により企業が海外市場を開拓するようになったことが挙げられます。
近年、ICTの普及によって輸送や通信にかかる費用が大幅に低下したため、国をまたいだビジネスのハードルが下がりました。その結果、日本でも多くの企業が海外に事業展開するようになったのです。
また、少子高齢化や人口の減少により国内市場が縮小したことも、多くの企業が海外への事業展開を図るきっかけとなったといえます。企業は、規模の小さい国内のマーケットでシェアを奪い合うよりも、海外のマーケットを開拓するほうが事業拡大につながるのです。
グローバル人材に求められるスキル・要素とは?
グローバル人材とはどのような能力を持つ人材を指すのでしょうか。
続いては、グローバル人材に求められる10のスキルや要素をご紹介します。
1 コミュニケーション能力
グローバル人材に求められるスキルとして、コミュニケーション能力が挙げられます。
コミュニケーション能力とは、相手の話をよく聞き、意図を的確にくみ取ることができる能力や、自分の考えをわかりやすく正確に伝えることができる能力のことを指します。
2 英語力
グローバル化に伴い、多くの企業が海外進出を行う中で、英語力がある人材へのニーズが高まっています。
例えば、アジアや南米などに事業展開する企業は、コストを抑えるために現地の人材を活用する場合があります。そこで、現地のスタッフと英語を使ってコミュニケーションを図ることができれば、グローバル人材として活躍できるはずです。
ビジネスで必要な英語については、こちらをご覧ください。
3 主体性
主体性も、グローバル人材に求められる要素のひとつです。ビジネスにおける主体性とは、自ら考えて、行動できる能力のことを指します。
主体性を持って動くということは、自身でリスクを負うことにほかならないといえます。時に責任を負いながらも業務を遂行できる人は、グローバル人材として活躍することができるのです。
また、グローバル企業で働くうえではアサーティブネスが重要となります。
アサーティブネスについては、こちらをご覧ください。
4 柔軟性
刻一刻と変化するビジネスシーンにおいて、急なトラブルや変化が起きても、ルールや規則に捉われすぎず、物事を解決していける柔軟性もグローバル人材に求められる要素のひとつです。
また、グローバルに事業展開する企業では、さまざまなバックグラウンドを持つビジネスパートナーと出会い、仕事をすることがあります。柔軟性に富んだ人材であれば、異なる価値観や異文化を受け入れて、仕事を円滑に進行することができるでしょう。
5 日本文化・伝統の理解
グローバル人材には、海外の文化を理解するとともに、日本の文化や伝統を理解する姿勢が求められます。
企業がグローバル化を進めて事業を拡大させるには、日本人ならではの視点を活かして、自社の商品・サービスを差別化できる人材が必要となるからです。
6 周囲への関心・好奇心
周囲への関心が強いことや、好奇心が旺盛であることも、グローバル人材に求められる要素であるといえます。周囲の変化や新しい情報にアンテナを張りめぐらせて、有益な情報を吸収することができる能力は、グローバル人材として活躍するのに役立ちます。
7 ビジネスマナー
グローバル人材に限らず、ビジネスで成果を上げるにはビジネスマナーは不可欠です。
ただし、ビジネスマナーは地域によって大きな違いがあります。例えば、初対面のとき、日本では名刺を差し出しながら相手に名前を伝えますが、アメリカの場合、名刺よりも先に握手をするのがビジネスマナーとなります。
グローバル人材として活躍するのであれば、地域に合わせたビジネスマナーを習得することが大切です。
8 チャレンジ精神
チャレンジ精神も、グローバル人材には欠かせない要素です。グローバル化を進める企業で成果を上げるには、失敗をおそれずに挑戦することも、時には必要です。事業を成長させるためには、従来の手法にこだわるのではなく、新しい手法を試してみたり、新しいマーケットを開拓したりできる人材が必要になります。
9 責任感
企業がグローバル化を図る際には、国内で事業を展開するのとは異なり、さまざまなリスクや困難に対面することとなります。あらゆる課題や困難を乗り越えて、仕事をやり遂げる責任感がグローバル人材には求められます。
10 リーダーシップスキル
グローバル人材に求められるリーダーシップスキルとは、プロジェクト全体を見渡し、効率的かつきめ細やかに物事を進めていく力のことです。
特に、海外を拠点としたプロジェクトでは、チームワークが重視される場合があります。リーダーシップスキルがあれば、チーム内のメンバーと意識をともにして、一人ひとりの能力を引き出しながらプロジェクトを進行することが可能です。
企業でグローバル人材を育成する方法
企業がグローバル人材を確保する方法のひとつに、人材を育成するという手段があります。
最後に、企業でグローバル人材の育成を行う方法をご紹介します。
ダイバーシティを意識する
ダイバーシティとは、多様な人材を活かして組織のパフォーマンスの向上を目指すことです。
ダイバーシティを意識した企業戦略において、上司は社員一人ひとりの個性を尊重して、活かす姿勢が必要になります。
新入社員の企画案を積極的に取り入れるなど、社員が挑戦しやすい環境を整えることでグローバル人材が育成されやすくなります。
社員がアウトプットしやすい環境を作る
グローバル人材を育成するには、会議のときに出席者全員に発言の機会を設けるなど、社員がアウトプットしやすい環境を作ることも重要です。
新しいプロジェクトを立ち上げるときに、上司が多くの社員の提案を受け入れるようにすれば、社員一人ひとりの主体性やチャレンジ精神を磨くことができます。
グローバル人材の育成プログラムを計画的に実践する
グローバル人材の育成は、OJTの実施や語学研修などを計画的に実行することも有効です。社内で体系的な教育を行うことは、グローバル人材を育成するために不可欠であるといえます。
上司がフィードバックしやすい環境を作る
グローバル人材を育成するには、上司がフィードバックしやすい環境を作ることが不可欠です。
上司からの評価やアドバイスがあれば、社員は業務上の課題を見つけることができます。1on1などの機会を設けて上司が部下にフィードバックを行うことで、社員はモチベーションを維持しながらグローバル人材を目指して成長することが可能です。
これからの日本を支えるグローバル人材になろう
少子高齢化や人口減少によりマーケットの縮小が進む日本では、企業の海外進出の重要性が高まっているといえるでしょう。グローバル化を図る企業にとって、グローバル人材の確保は重要な課題です。
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